【鴻巣観光大使による音楽劇】夏目漱石作『夢十夜』
みなさん、こんにちは。
暖かい日が続いたと思えば、
また風が強く寒い天気に戻ってしまいましたね。
さて、本日は
2月22日(月)に行われた、
鴻巣観光大使でもある語り部の平山ヤエ氏による
音楽劇 夢かたり「夢十夜(ゆめじゅうや)」の
感想を皆さまに共有いたします♪
夢かたり 夢十夜 夏目漱石作
―出演―
平山ヤエ(語り)
岩佐鶴丈(琵琶奏者)
設楽瞬山(尺八)
―演出―
笠井賢一
『夢十夜』とは、
夏目漱石著の小説です。
十の不思議な夢の世界を綴っており、
第一夜、第二夜、第三夜、第五夜の書き出し
「こんな夢を見た」
という言葉が印象的です。
漱石としては珍しい幻想文学のテイストが濃い作品。
そんな夏目漱石の夢が、
平山ヤエ氏の語りと演技、
そして
岩佐鶴丈の琵琶と設楽瞬山の尺八と能笛によって
観客の心に現れるような劇でした。
出だしでは、
照明がだんだんと落ちるとともに、
ウィンドチャイムを中心とした音によって
まるで夢の中へと誘われているような
感覚になりました。
そして始まる、「こんな夢を見た」。
全部で十つの夢のうち
第一夜、第三夜、第十夜の夢が
クレアこうのすの劇場内に広がりました。
あらすじ
第一夜 私の目の前で横たわった女が「もう死にます」という。死んだら埋めて、墓の傍で百年待っていて下さい、きっと会いに来ますからという。私は待ち続けるが一向に百年がまだ来ない。自分は騙されたのかと思う。そのとき百合の蕾が伸びてきて目の前で花開き…
第三夜 目が潰れて青坊主になった六歳の我子を背負って歩いている。子供はまるで大人のような口を聞く。私は早くこの子供を捨てたいと森の中に急ぐ。子供は此処だ此処だ、といい「お前がおれを殺したのは丁度百年前だね」という。自分が人殺しであった気づいたとたん…
第十夜 女の後をついて行き行方不明になった庄太郎が七日目に帰ってきて寝込んだ。庄太郎が言うには、女についていくと絶壁に出た。女は此処から飛び降りろという。辞退する庄太郎に、あなたの大っ嫌いな豚に鼻を舐められますよと女は言う。無数の豚を庄太郎は六日七晩、ステッキで豚の鼻面を叩き続けるがついに…
第一夜では、
女を百年もの間待ち続ける男の姿。
貝で土をかけるシーンや
百合に接吻をするシーンなど
演技と音楽、照明により
まるで自分がその場にいるかのようでした。
第三夜では、
我が子を森に捨てようとする男の姿。
親子の不気味な関係性が浮かび上がり、
またその瞬間に夢が終わる…
何とも言えない恐怖感が心に残りました。
第十夜では、
美しい女についていったばかりに
最も嫌いな豚に鼻を舐められてしまう男の姿。
五万といる豚を追い払おうとするシーンでは、
ステッキの動きと効果音が息ぴったり。
思わず、身を乗り出して楽器を見てしまいました。
また、梱包材によく使われる
プチプチでの舞台装飾と紫の照明も
夢の世界にピッタリの演出でした。
全ての夢が終わった頃には、
じわじわと不思議な感覚が残り、
暖かい夜にふさわしい
帰り道でした。
ちなみに、
平山ヤエさんは、
3月14日(日)に講座を開かれます。
様々な舞台で扱ってきた古典文学を、
解説を交えながら声に出して読んでいき、
脳の活性と心の醸成を目指します。
100名限定オンライン参加のリンクはこちら。
https://coubic.com/machikatsu/774013
ぜひご参加してみてください。
きっと、
ステキな文学との出会いが待っていますよ。